今村規子著「史料でみる和菓子とくらし」読了

朝倉2号

2023年02月12日 21:00


 元虎屋文庫研究主幹の今村規子さんが、

 錦絵や見本帳、茶会記、手紙などを読み解き、

 昔の人たちが和菓子をどのように楽しんでいたかを紹介する本。

 で、いちばん楽しんでるのは今村さん本人w

 もうね、文面からほんとに和菓子が好きなのが伝わってくるのよね。

 というわけで、今村さんといっしょに和菓子を楽しんでる感じ。

 あっという間に読み終わってしまったのが残念です。


 で、この本を読んでて

 「近世風俗志(守貞謾稿)」のところでピンときました。

 いわゆる「中華饅頭」は、

  溶いた小麦粉を薄く焼き味噌を塗って巻いて食べる「麩の焼き」
   ↓
  溶いた小麦粉を薄く焼き餡を包んで食べる「助惣ふの焼」
   ↓
  小麦粉に玉子と砂糖を溶いて薄く焼き
   餡を包んで食べる「中華饅頭」

 と、段階的に進化して生まれたのではないかと。


 その命名については、

 一般的には「中花種だから中華」と言われていますが、

 この説では、こんどは中花種の命名の説明ができません。

 また、嘉永7年(1854年)発行

 「意地喜多那誌」に掲載されている

 中華饅頭の横には「唐饅頭」があり、

 当時の日本から見た先進地へのあこがれを感じます。


 中華饅頭は玉子と砂糖を加える南蛮の技法による菓子であり、

 これまでの麩の焼きとは別物であるため

 「麩の焼き」から離れた名前を考え、

 南蛮の技法を使用しつつも

 「南蛮」より正統性のある「中華」と命名することで

 お客さんの目をひいたのではないでしょうか。


 まぁ、この説を証明できる史料はないので、

 すべて推測ではありますが。


  ※淡交社 今村規子著「史料でみる和菓子とくらし」
   https://www.book.tankosha.co.jp/shopdetail/000000001640/



 

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