中華饅頭の起源に関する一考察。

朝倉2号

2023年02月05日 18:00


 「中華饅頭の由来はぎょうざではないか」

 そんな意見をいただいたのをきっかけに、

 中華饅頭の起源について考えてみました。


 確かに中華饅頭の形は餃子に似ています。

 餃子は安永7年(1778年)に

 中国料理書「卓子調烹法」で初めて紹介され、

 さらに、長崎に滞在する中国(清国)商人への

 聞き取り調査をまとめた本

 「清俗紀聞(寛政11年(1799年))」では

 イラスト付きで紹介されています。

 ただ、そのイラストは「餃子」とあるものの、

 現在の餃子とは似ても似つかぬものなんですよね。

 どちらかというとシウマイ風w

 ですので、いまのところは「餃子説」はなしかと。

  ※時の流れの落しもの
   http://muka4wo15.blog135.fc2.com/blog-entry-109.html


 ただ、中華饅頭が紹介されている江戸時代の本、

 嘉永6年(1853年)発行の鼎左秘録では

 その呼称は「中華饅頭(ちうくわまんちう)」で、

 文久2年(1862年)の古今新製名菓秘録では

 「中華饅頭(もろこしまんちう)」とあるところを考えると、

 中華饅頭の名称に当時の文明国である「シナ」を見ていたのは確実。

 ただ、中華饅頭が「シナ」から伝来したものかというと、

 私は別だと考えています。

  ※鼎左秘録(国立国会図書館デジタルコレクション)
   https://dl.ndl.go.jp/pid/2536918/1/4

  ※名菓秘録(国立国会図書館デジタルコレクション
   https://dl.ndl.go.jp/pid/2554775/1/17


 もともと、千利休が茶会で使用した「麩の焼き(ふのやき)」という

 溶いた小麦粉を薄く焼き、味噌などを塗り、

 巻いて食べる調理法はあったので、

 中華饅頭はその変形と見ることもできます。

  ※「麩の焼き」は福岡県南部の八女地方に
   郷土菓子「ふなやき」として現在も伝わっています。

  ※ふなやき(農林水産省 うちの郷土料理)
   https://www.maff.go.jp/j/keikaku/funayaki_fukuoka.html

  ※じり焼き(大分県の郷土菓子)
   https://chspmomo.yoka-yoka.jp/e2294852.html


 当時、小麦粉・鶏卵・砂糖の生地は南蛮由来の新しい食文化ですし、

 名称に文明国を象徴する「中華」をつけることで

 「カッコイイ」食べものに仕立てた可能性もあるのではないかと。


 というわけで、今回の中華饅頭の起源に関する考察はここまで。




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